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熊本地方裁判所 昭和51年(わ)35号 判決 1976年5月21日

国籍

韓国(全羅南道長城郡西三面大徳里)

住居

熊本県玉名市寺田二番地の三

運送業及び山砂販売業

子本一郎こと

邊鎮曾

大正二年一一月二〇日生

主文

被告人を懲役五月及び罰金八〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、熊本県玉名市大字寺田字大堂に事務所を設け、運送業及び山砂販売業を営んでいるものであるが、所得税を免れようと企て

第一  昭和四七年分の総所得金額は、二、九八二万三九九七円であつて、これに対する所得税額は一、四一四万三六〇〇円であるのにかかわらず、昭和四八年三月一二日、同市繁根木所在玉名税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は一三三万〇〇〇〇円で、これに対する所得税額は五万八〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税一、四〇八万五六〇〇円を免れ

第二  昭和四八年分の総所得金額は、四、四四一万六四六六円であつて、これに対する所得税額は二、三〇五万六〇〇〇円であるのにかかわらず、昭和四九年三月七日、前記玉名税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は一八一万九〇三〇円で、これに対する所得税額は一一万六〇〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて不正の行為により所得税二、二九四万〇〇〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の検察官に対する供述調書(二通)及び大蔵事務官に対する質問てん末書(一九通)

一、辺誠淵の検察官に対する供述調書

一、安富款之亮、酒井アイ、島田秀、寺本稔夫、千蔵忠志、河原福朱、子本誠一の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書

一、大蔵事務官作成の調査事績書(二六通)

一、大蔵事務官作成の検査てん末書(一一通)

一、青山商事有限会社代表取締役青山喜代喜、株式会社有明建設代表取締役浜西武雄、大津達夫、有限会社金崎産業代表取締役金崎二人、九機土木株式会社代表取締役中西達、九友土木株式会社横島干拓作業所長中村正行、有限会社木村組係員、有限会社興和工業代表取締役森田春美、有限会社佐伯興業代表取締役佐伯昌勝、株式会社島村組代表取締役嶋村重利、世紀建設株式会社福岡支店長浦川一郎、株式会社田端組代表取締役田端末次、田中功一、日建清水株式会社経理係川北芳雄、有限会社角田建設代表取締役角田至誠、池田大介、有限会社原嶋産業代表取締役原嶋嘉蔵、有限会社丸秀産業代表取締役片山秀敏、株式会社マルジ建材代表取締役丸治広富、株式会社本村組事務員村上美恵子、田上三男、井上武雄、井手芳郎、諫山工業株式会社取締役社長諫山末太郎、平和生命保険株式会社熊本支社係員、玉名税務署長、竹村肇、熊本礦業株式会社経理責任者高岡恒男、岩井靖武、野中ミドリ、熊本富士高潤株式会社代表取締役福原嘉広、熊本石油株式会社玉名営業所長原靖美、深見直之、西日本小松株式会社熊本工場長中原康雄、淵上弘義、関永英一、嘉島産業株式会社代表取締役荒木顕聖、有限会社本田産業代表取締役本田又喜、有限会社浜田鉄工所代表取締役浜田繁男、任福礼作成の各回答書

一、大万観光株式会社取締役有田徹、熊本トヨペット株式会社業務課長補佐佐藤恒男、トキコ油器株式会社熊本出張所事務員池上春代、熊本いすず自動車株式会社総務部次長松岡稔、福山藤記、深見直之、株式会社藤岡工務店代表取締役藤岡照光、熊本商銀信用組合副理事長新原常正、旭相互銀行玉名支店長宮路忠志作成の各上申書

一、大蔵事務官作成の電話口頭連絡せん(六通)

一、定期預金申込兼印鑑票、入金管理カード、普通預金元帳写(証明書第一号)

一  定期預金利息明細帳(証明書第八号)

一、普通預金、定期預金、定期積金元帳名簿、配当金明細帳写(証明書第九号)

一、約束手形写(証明書第一二号、第一六号、第一七号、第二二号)

一、割引手形元帳、割引手形実行明細表写(証明書第五号)

一、売上帳写(証明書第三六号)

一、注文書、車両割賦手形台帳、部品修理売掛金台帳等写(証明書第三一号)

一、昭和四五-四八年度固定資産税、市民税、県民税、国民健康保険税徴収簿写(証明書第三七号)

一、固定資産名寄帳兼課税台帳写(証明書第一九号)

一、売上帳、部品請求明細書控、入金内訳報告書控写(証明書第三〇号)

一、割賦販売契約台帳写(証明書第二四号)

一、販売契約書、販売報告書、手形計算書、伝票部品修理売掛元帳写(証明書第二九号)

一、売掛金一覧表等写(証明書第二七号)

一、手形台帳写(証明書第二八号)

一、注文書、受託車売掛金、同伝票、修理売掛元帳、当座預金元帳写(証明書第三四号)

一、試堀権関係書類綴写(証明書第三五号)

一、定期預金、定期積金元帳、借入金申込書、入金伝票等写(証明書第一一号)

一、証書貸付元帳写(証明書第二号)

一、伝票写(証明書第七号)

一、注文書等写(証明書第二六号)

一、押収してある普通預金通帳三冊(昭和五一年押第四九号の一、一三、一四)、約束手形等一綴(同押号の二)、登記済証等一綴(同押号の三)、不動産売買契約書一綴(同押号の四)、雑書類一綴(同押号の五)、証書貸付元利金払込通帳一綴(同押号の六)、肥後銀行関係書類一綴(同押号の七)、来賓芳名簿一綴(同押号の八)、手帳一冊(同押号の九)、ノート三冊(同押号の一〇、一五、一六)、代金取立手形通帳三冊(同押号の一一、一二、三四)、出勤簿四冊(同押号の一七ないし二〇)、山砂売買契約書一綴(同押号の二一)、証書貸付元利金払込通帳二枚(同押号の二二、二三)、当座小切手帳一綴(同押号の二四)、約束手形控一綴(同押号の二五)、当座勘定入金帳一綴(同押号の二六)、領収書八綴(同押号の二七、三〇ないし三三、三五ないし三七)、請求書二綴(同押号の二八、二九)、当座勘定元帳一綴(同押号の三八)、定期預金元帳四綴及び四枚(同押号の三九ないし四四、五七、五八)、定期預金申込兼印鑑票七枚(同押号の四五ないし五一)、定期積金集金カード一枚(同押号の五二)、入金管理カード一枚(同押号の五三)、積立定期預金入金管理カード一枚(同押号の五四)、割引手形実行明細表一枚及び一綴(同押号の五五、七五)、普通預金元帳二綴及び一枚(同押号の五六、六一、六二)、定期積金元帳三枚(同押号の五九、六〇、六三)、手形貸付元帳二綴(同押号の六四、六八)、割引手形元帳二綴及び一枚(同押号の六五、七三、七四)、売上帳一綴(同押号の六六)、証書貸付元帳三枚及び一綴(同押号の六七、七〇ないし七二)、申込書一枚(同押号の六九)、確定申告書二枚(同押号の七六、七七)

(法令の適用)

判示行為及び刑の併科

所得税法二三八条一項

併合罪の処理

右は刑法四五条前段の併合罪なので、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重、罰金刑につき同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算

労役場留置

刑法一八条

刑の執行猶予

懲役刑につき刑法二五条一項

(検察官中原恒彦出席)

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 石田実秀)

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